新年のご挨拶

皆さま、いつもお世話になっております。

アフリカドッグス・代表の中須です。

あけましておめでとうございます。

2020年、いろんなことがありました。ありすぎて、寿命が6年くらい縮んだような気がします。私事ですが、息子が生まれました。さて、これから本腰を入れて頑張るぞと意気込んでいたら、コロナで仕事が全て吹っ飛びました。ぶったまげました。

驚きましたね。でも、おかげで頑張る理由がたくさんできました。国内事業のウエイトが大きくなったおかげで、素敵な出会いがありました。

なんと、ぼくたちの本拠地・京都で、アフリカ・トーゴ共和国の仕立て職人・デアバロさんと出会ったのです!しかも、ふだん出入りしているオフィスから歩いて15分くらいのところに住んでいました。これを運命と言わずしてなんと言うのか..!! ぼくたちはすぐに商品開発に着手しました。そして「miwodeka(ミウォーデカ)」と名づけたブルゾンを世に送り出しました。

「MIWO DEKA」は、トーゴを中心にガーナとベナンの一部に住まうエウェ民族の言葉で、「二つは一つ」という意味です。ぼくが初めてアフリカ大陸を訪れた2012年、別れ際に友だちがぼくにくれた言葉です。二つは一つ、遠く離れたアフリカと日本、空は繋がっているとハグをしてくれました。

およそ8年の時を経て、二つで一つのものをつくることができました。商品開発の打ち合わせのなかで、デアバロさんから「いつか日本でお店を出したい」という気持ちを聞いていました。彼はトーゴで仕立てを学び、ガーナやベナンで腕利きの仕立て職人として地域から評判を得ていました。それから青年海外協力隊として赴任していた女性と結婚、4年ほど前に来日したといいます。平日は運送業のアルバイト、休日に服を仕立てて、ネットや手づくり市で販売していました。

彼の作品を見たいというファンの方々がいたなかで、コロナで手づくり市は中止になっているタイミングでした。ここは思いきって、二人でお店を出そうということになりました。デアバロさんと出会ったのが7月の下旬。8月に作品を完成させ、9月にお店を出すことを決め、10月に開店準備、そして11月にオープン。トントン拍子といっていいのか、ハチャメチャ奮闘劇といったほうがいいのか、怒涛のオープニングを経験しました。

その経験を踏まえて、今年は地域に根ざして、京都の西陣から「アフリカ文化のお誂え」を 発信していきます。ファッション業界のメインストリームは、大量生産・大量消費・大量廃棄です。SDGsの流れを受けて、ビジネスモデルの変化を求められている中で、アフリカのオーダーメイドのファッション文化は、世の中に意義のあるメッセージを届けることができるのではないかと思っています。

これまでアフリカは、人類学や開発経済学の分野で語られることが多い領域でした。今回の取り組みは、支援の対象として見られがちであった「アフリカ」ではなく、ファッション業界にひとつの可能性を示す「アフリカ」として捉えています。その目の前の人に、一着一着、仕立てる文化は、この時代でこそ輝くと信じています。

しかもお店を出した西陣は、かつて「お誂え」という特別な一着を楽しむ文化が成立していた地域です。今や富裕層にしか楽しめない文化を、アフリカ文化とのコラボレーションによって、お手軽に楽しめるようになりました。さらに、ぼくたちのお店は生活の基盤である衣食住の「衣」が、消費されてしまわないようなサプライチェーンを築いています。

お店ではアフリカ布や京友禅を取り扱っていますが、その京友禅の工房を一般公開し、染色体験をとおして職人仕事に迫る企画を定期的に催しています。また今年は、アフリカドッグスが提携しているトーゴのアフリカ布の工房への視察ツアーをとおして、「一着の服を旅してつくる」プログラムを実施する予定をしています。生産者さんとの接点を増やし、生きかたや働きかたを見直す機会をつくっていきます。

なるべく面白く、楽しいコンテンツで、意義あるメッセージをお伝えできるように努力します。一人でも多くの方と、同じ時間を過ごすことができれば幸いです。今年も何卒よろしくお願い致します!!

中須俊治