AFURIKA DOGS(アフリカドッグス)は、2018年10月に設立されました。アフリカ・トーゴの伝統布である「ケンテ」や独自に発展してきた「バティック」、カジュアルに自分だけのファッションを楽しむ「オートクチュールの仕立屋」の文化。人類学や開発経済学だけではない現代アフリカ文化の可能性がトーゴ共和国にありました。トーゴ共和国に日本初の法人を設立し、地元である京都文化との掛け合わせのなかで、新たな価値を生み出そうとしています。世界を1mmでも豊かにするアクションとイノベーションを起こしていきます。
AFURIKA DOGSの「DOGS」はアフリカ・トーゴ地域の一部でつかわれる「仲間」を意味するスラングです。決してきれいなことばではないですが、そんな泥くさくて、人間くさい関係に溢れたらいいなという願いを込めました。「AFURIKA」はフランス語圏であるトーゴ共和国の人たちも、日本の人たちも、ローマ字読みで発音することのできるユニバーサル性を備えています。国も宗教も肌の色も違う人たちと時間を一緒にするなかで気づいたのは、悲しいときには泣いて、嬉しいときには笑い、夕日をみて綺麗だと思う感情は変わらないことでした。気持ちを同じにできるDOGSたちと、一歩でも前に進んでいきます。
代表メッセージ
ぼくには好きなことばがあります。「はやく行くならひとりで、遠くへ行くならみんなで」というアフリカの諺です。ぼくひとりでは何もできないけれど、いいチームをつくることができれば、よりおもしろい世界に連れて行ってくれると信じています。
ぼくがアフリカ・トーゴと日本を往復して事業をつくっているのは、現地で交わした友だちとの約束がきっかけです。はじめてアフリカを訪れた当時、在留邦人が2人しかいなかったトーゴという国で、ぼくは現地語であるエウェ語を駆使することで破竹の勢いで友だちを増やしていました。ヨーロッパ諸国の「白人」が使う言葉ではなく「郷に入っては郷に従え」という諺にならって、彼らと同じ言葉を使うことで信頼を獲得することに成功しました。個性的な友だちに囲まれながら、日中はラジオ局のジャーナリストとして働き、夜は地域の人たちとお酒を交わして、朝まで歌って踊ってトーゴでの生活を謳歌していました。そのほとんどの時間を同じにしていたのが、マックスというエスカルゴ職人でした。
当時、ぼくが滞在していたパリメという町では毎週土曜日が「グランマルシェ(多くの食料・日用品などの屋台が軒を連ねる定期市)」でした。ある日の昼下がり、マックスをはじめ仲の良かったメンバーでグランマルシェへ行くと、現地の土着宗教を信仰する過激派グループに絡まれ、友だちのひとりが集団リンチを受ける事件が起きました。リンチを受けた友人・ヤオはダウン症で、それは独特の宗教観から悪魔が憑依していると認識されていました。その現実をまえにマックスは体をはってヤオを守り「友だちが傷つくような世の中に生きていたくない」と訴えていました。「みんなが笑って過ごせる世界をつくりたい」と夢みる彼と、ぼくはまたアフリカに帰ってくることを約束して帰国しました。
かつて交わした約束を果たすべく起業したぼくは、どうしたら「みんなが笑って過ごせる世界」をつくれるかを模索してきました。アクションを重ねながら辿り着いたのは体験をデザインして、数字にあらわれない価値を世の中に届けることでした。パソコンやスマホで繰り広げられるバーチャルな世界に慣れきっているなかで、リアルな息づかいを感じられるほどの臨場感を届けるということ。自分のなかに体験があれば、それがいろんな知識と紐づいて、腑に落ちる感覚を得ることができます。そのかけがえのない体験を届け、前向きなアクションを起こす人がひとりでも増えるように、ぼくたちは全力を尽くしています。