京都の布×アフリカ・トーゴの技でブルゾンを

 京都でも緊急事態宣言が発令された。ぼくたちの会社は創業以来、ずっと緊急事態であるから、逆にニュートラルではある。お店をオープンして2ヶ月が経ち、受注いただいた服の仕立てが落ち着いたので、待ちに待ったブルゾンをオーダーした。いい。実に、いい。

 色があると元気になる気がする。日本のファッションは、かつて色を楽しんでいた。そんなことを、年明けのクソ寒い工房で火を焚きながら職人さんが言っていた。

 モード(流行り)の世界では、春夏・秋冬と年に2回、コレクションが出る。かつての日本は、春夏秋冬の4回と思いきや、梅春・春・初夏・夏・秋・冬の6回もコレクションが出ていたらしい。「梅春」というのを初めて聞いたが、淡い感じの色づかいをするそうで、そういう感性があったころは、いろいろと豊かだったんじゃないかと想像した。

 ぼくがオーダーしたブルゾンにつかわれているテキスタイル(布製品における生地や柄のこと)は、青赤黄がいい感じにグラデーションとなって6色くらいに見えるやつだ。インクジェットではなく、色の深みがでる染色で、このテキスタイルの表情をラインナップしているブランドは、そう多くない。わかる人にはわかる凄みがあるけれど、わからない人にも伝えるのが仕事のひとつだとも思う。だから普段から身につけて、その肌感覚をぼくなりの言葉で説明できるようにしていきたい。

 緊急事態宣言、外部の環境はどうすることもできないけれど、ぼくたち自身の環境はどうだって変えられる。これまで乗り越えてきた困難に比べたら、いまの状況なんて屁のかっぱだ。と言えるくらい大きく構えられるように今日も頑張ろう。心を込めて。

中須俊治