DIALOGUE+「伝統技術と現代のモノの価値観との融合」(インターン記事)

京都外国語大学2年 森松 美月

 3月13日、京都伝統産業ミュージアムにて開催されたKyoto Crafts Exhibition DIALOGUE+へ行ってきました。私自身、雑貨や工芸品を見るのが好きで、よく百貨店のポップアップショップなどを覗くので、この催事を楽しみにしていました。この展示会はすべてのブースに出展者さんや作家さんがいて、モノに触れながらもそれがどのようにしてできあがるのか、どんな背景があったのかというストーリーを直接聞くことができ、モノの価値観について考えさせられました。

 この展示会では40以上のブランドが集まり、京都の伝統工芸技術を活かしたものたちが一堂に集まっています。AFURIKA DOGSはベナンのアフリカ布と日本の縫製を掛け合わせたアパレルブランド、「AFRICL(アフリクル)」さんとともに「miwodeka(ミウォーデカ)」という名前で出展しました。「miwodeka」というのは、トーゴのことばで「二つは一つ」、代表の中須が初めてアフリカ大陸を訪れて日本に帰国するとき、友人からもらった大切なことばといいます。ブースでは、ブルゾンやシャツ、スカート、ワンピースなどの服や、ヘアバンドや巾着、ブックカバー、マスクケースなどの雑貨、これまでの奮闘をまとめた『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』(烽火書房)まで、幅広い商品をラインナップしました。

 ほかのブースでは漆や染め物、革製品など、どれも繊細な美しさのあるものばかり。また出展者の方々は「代々続いている伝統技術をどうやって現代に活かすか、どうやって未来へつなげていくか」を真剣に向かい合い、それぞれの創意工夫で商品を生み出していました。例えば、明るいポップな和紙や手ぬぐいを作ることで若い女性に興味を持ってもらおうと取り組んでいたり、最新のテクノロジーを組み合わせて身近に使える商品を開発したりしていました。お話を聞いていると、ものづくりに対する熱意がストレートに伝わってきて、その姿にただただ圧倒されるばかりでした。

 なかでも、箔を扱う工房の方のお話はとても印象的でした。銀箔を使った商品が並んでいましたが、銀箔は変色する性質があり、これがあまり良しと見なされず、長らく金箔が主流だったそうです。しかしこの変色性が経年劣化を楽しめる、その人の使い方によってオリジナルに色が変わっていくという捉え方で、再び注目を集めるようになったそうです。ものを買うときの価値観ってなんだろうと考えさせられました。

 ものを買う基準は、デザインの好みや機能だけでなく、本当にそれを持ち続ける気持ちも加わるようになったのではと思います。気持ちっていうと、かなりぼんやりしていますが、長い目で見てそれを使い続けることができる自信、それがどのようにして作られているのかストーリーが見えることで大切にしようと思うことなどです。銀箔の再注目も、長く使えて、しかも使い方で色の変化を楽しめるという捉え方が、まさにその例なのではと思いました。ものを消費することに責任を感じるようになった今、作り手の顔が見えやすい伝統工芸品は、新しい考え方に合うように感じます。だからこそ、繊細な美しさを持つ京都の伝統工芸品を現代の趣向とモノの価値観に融合させて発信していくことが、伝統を継承させていくうえでも、持続可能な社会をつくるうえでも大切ではないかと感じました。

中須俊治